(特定社会保険労務士/陌間まふゆ)
世間では新型インフルエンザの話で大騒ぎとなっておりますが、新型インフルエンザ
に関する労務管理上の問題についてご質問が多かったので、調べてみました。
●感染症法で就業制限を受ける「感染症の患者又は無症状病原体保有者」に非該当の
証明書がありながら、使用者が風評被害を恐れて自宅待機(就業拒否)を行った場合
→労基法解釈での「使用者の責めに帰すべき事由の休業」に該当し、使用者は
労基法26条に定められた、平均賃金の60/100以上の休業手当を支払う義務がある。
つまり「感染症の患者又は無症状病原体保有者」の証拠がないまま、使用者側から
インフルエンザの疑いがあるから休めと命じた場合、その休業中の賃金を無給と
することは、労基法違反で有給の特別休暇(年次有休とは別枠)とするか、
あるいは労基法26条の平均賃金の60/100以上の休業手当を支払ねばなりません。
●「感染症の患者又は無症状病原体保有者」に該当するとの証明書があって、
使用者が休業(自宅待機)を命じた場合
→感染症法に基づく就業制限(休業)なので「使用者の責めに帰すべき事由の休業」
に該当せず、休業期間中は無給で良い。
とのことです。
労基法26条の休業手当(平均賃金の60/100以上)は、感染症法の前身である旧伝染病法や結核予防法などの公衆衛生諸法令の規定に基づく不就業(休業)については、天災地変という扱いであって、使用者に労働者の賃金保証の義務がありません。
労働諸法令上は、地震や水害などでの出勤不能や、或いは災害で事業活動が 出来ずに会社が休業する場合と同様の扱いになります。
ただし感染症法などで強制的に休業させられる労働者が、健康保険の被保険者本人 であれば、健保の傷病手当金が支給される場合があります。
この場合は、感染症法18条1項に基づいた都道府県知事の通知の書面添付が 支給要件になると思われますが、実際の保険者(健保協会や健保組合)での 運用面でどうなっているか、個別に問い合わせしてみないと回答に自信が持てません。
(昔の伝染病法の時代は、強制隔離されると証明の紙切れが貰えたそうですが、
成田の隔離入院の4人などはどうなんでしょう?)
なおこの先は蛇足ですが、感染症法での「入院」は、医療費の自己負担が無く、
全額公費(健保で7割負担し、本人負担の3割分を都道府県が負担)することに
なりますので、入院した病院窓口で患者本人が医療費を支払うことはありません。
しかし、兵庫県などがベッド不足と低毒性を理由に、原則入院させずに自宅療養
(早い話が「外来通院」での療養)させる方針のようですが、感染症法の対象疾病
でも「外来通院」の場合は公費負担(3割分の都道府県負担)が無く、
普通の健保診療と同じになって患者本人の3割負担を窓口で支払うことになります。
©みつ星ビジネスパートナーLLP 2009
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